競馬に出走する馬は決められた斤量(負担重量)を背負うことが定められています。
斤量(きんりょう)はkgで表示され、レースの種類と騎手によって変わります。
昔の日本では尺貫法という法律に基づいて「斤」(1斤=600g)を重さの単位として使っていました。
初期の競馬では負担重量の単位として斤を採用していて、80斤などのように表していました。
1951年に計量法が制定されてからは取引などで斤は使われなくなりましたが、競馬の世界では当時の名残として「斤量」が使われています。
この記事では、
- 斤量の決め方
- 斤量に含まれるもの
について解説していきます。
テンポイントの1978年1月22日のハンデ戦の日経新春杯に66kgでした。
斤量の決め方
斤量はレースの種類と騎手によって変わります。
レースの種類は馬齢戦、別定戦、定量戦、ハンデ戦の4つがあります。
馬齢戦
2歳時と3歳時に同じ年齢同士が出走するレース
誕生月によって斤量は変わりますが、牡馬と騙馬は54~57kgで、牝馬は54~55kgと定められています。
この時期の馬はまだ若くて発育途上のため、生まれてからの年月が長ければ長いほど重い斤量を背負うことになっています。
ちなみに、GⅠは定量戦または馬齢戦で行われています。
別定戦
レース毎に斤量の計算方法が決められているレース
5歳以上の牡馬・騙馬が57kg、牝馬が55kgを基本重量として、年齢、距離、収得賞金、勝利度数などによって斤量が増減されます。
他の馬よりも勝利回数が多く、多くの賞金を稼いでいる馬の斤量は重くなります。
馬の加齢とともに体力が衰えていたとしても過去の実績によって斤量が決まりますので、実績馬が若くて元気があり斤量が軽い馬にサクッと負けてしまうことがあります。
定量戦
過去の実績に関係なく、馬の年齢と性別を基準に定められているレース
別定戦やハンデ戦のように実績のある馬の斤量が重く、実績が少ない馬の斤量が軽くなるわけではないので、実力通りの結果になりやすいです。
ちなみに、GⅠは定量戦または馬齢戦で行われています。
ハンデ戦
ハンデキャッパー(ハンデキャップ作成委員)によって斤量が決まるレース
別定戦のように決まった計算方法はなく、ハンデキャッパーが各馬に勝つチャンスを平等に与えるために、過去の実績や近走の状況などを加味して斤量がきまります。
つまり、各馬が同時にゴールできるように斤量が設定されるので比較的荒れやすいです。
騎手による減量
特別競走(重賞などの特別登録が必要なレース)とハンデ戦以外のレースに女性騎手や見習騎手が騎乗する場合は斤量が減量されます。
勝利度数が増えるほど減量が少なくなります。
斤量に含まれるもの
斤量に含まれるものはこちらです。
- 鞍
- 腹帯
- 鞍下
- 鐙
- 騎手
- ブーツ
- 勝負服
- 重り
逆に斤量に含まれないものはこちらです。
- ゼッケン
- ヘルメット
- ヘルメットカバー
- ゴーグル
- 鞭
- 手綱
- 手袋
- ブリンカー など
一般的に53~58kgの斤量になることが多いため、騎手の体重は52kg前後の方が多いです。
騎手はレースの50分前までに検量(前検量)を行い、7着以内に入った騎手についてはレース後に再度検量(後検量)を行います。
いずれかの検量で斤量オーバーになると騎乗停止、過怠金・戒告、再教育といった処分が科されるので、日ごろの体重管理は非常に大変です。
まとめ
斤量の決め方や斤量に含まれるものを解説しました。
現在のようなハンデ戦における斤量の決め方になった背景には「琉星の貴公子」と呼ばれていたテンポイントの悲劇があります。
1977年に有馬記念でトウショウボーイやグリーングラスに勝ったテンポイントは1978年1月22日のハンデ戦の日経新春杯に66.5kgの斤量を背負って出走しました。
軽快に飛ばしていたテンポイントでしたが、4コーナーに差し掛かったところで左後足の骨が皮膚から突き出す開放骨折になってしまいます。
獣医からは安楽死が告げられましたが、治療の道を選択します。
その後懸命の治療が行われましたが、その後蹄葉炎を発症してしまい、骨折から1ヵ月半後の3月5日に稀代の名馬は残念ながら息を引き取りました。
この悲劇がハンデ戦における斤量を見直すきっかけとなりました。
斤量に触れる際には琉星の貴公子、テンポイントを思い出していただけると嬉しいです!
最後まで読んでいただきありがとうございました!