競馬の新聞やニュースを見ていると、「手前を替えてからグンと伸びました」とか「手前を替えられず失速しました」というコメントが出てきます。
アイキャッチ画像のドゥラメンテは、右手前・左手前どちらか分かりますか?
(答えは、まとめの下にあります。)
コーナーを上手に回ったり、スタミナを持続させるためには走りながら手前を替えることが重要です。
レースで手前を上手く替えられない馬はコーナーでスピードに乗れなかったり、必要以上にスタミナをロスしてしまいます。
この記事では
- 手前
- 馬の歩法
- 手前を替える意義
について解説します。
手前
手前とは足の走り方のことで、最後に着地する肢が右肢のときは「右手前」、左肢の時は「左手前」といいます。
その右手前と左手間を替えることを「手前を替える」といいます。
下の写真を見てください。
10番は左肢が最後に着地しているので左手前、9番は右脚が最後に着地しているので右手前となります。
馬ごとに利き肢は異なっていて走りやすい方の肢を手前としています。
レースでは利き肢とは関係なく、コーナーや直線で手前を替えながら走っています。
馬の歩法
馬の歩法とは、馬の前進の方法のことで
- 常歩(なみあし)
- 速歩(はやあし)
- 駈歩(かけあし)
- 襲歩(しゅうほ)
の4つがあります。
常歩(なみあし)
歩法の中では最もスピードが遅い歩き方(1分間で約110m)で、パドックでみる歩法はこの常歩になります。
英語ではウォークと呼ばれています。
肢の動く順番は①右後肢、②右前脚、③左後脚、④左前足の順番です。
馬の頭は上下左右に動きますが、騎手は前後の揺れを感じ、上下の動きはあまり感じません。
速歩(はやあし)
速歩は常歩の2倍程度のスピード(1分間で約220m)で進む歩法です。
英語ではダクやトロットと呼ばれています。
肢の動く順番は常歩とは異なり、①右後肢+左前肢、②左後脚+右前肢の順番です。
対角線上の肢が交互に動くので、この動きは斜対歩と言われています。
速足になると頭の位置はあまり変わりませんが、上下の動きが大きくなります。
コーナーを回る時には騎手は肢の動きに合わせて立ったり座ったりして馬にかかる体重の負担を軽減しています。
駈歩(かけあし)
駈歩は速足の1.5倍程度のスピード(1分間で約340m)で進む歩法です。
英語ではキャンターと呼ばれています。
肢の動く順番は常歩や速歩とは異なり、左手前の場合、①右後肢、②左後肢+右前肢、③左前肢の順番です。
速歩から駆歩に移ることを「キャンターにおろす」と言います。
タグからスムーズにキャンターに移れれば調子がいいと判断できます。
逆にぎこちない移り方の場合は疲労が残っている可能性がありマイナス材料となります。
競走馬が本馬場入場しているところをよく見ている人はここに注目している人が多いですね。
襲歩(しゅうほ)
襲歩は最もスピードが速い走り方(1分間で約1,000m)でレースで疾走しているときの歩法です。
英語ではギャロップと呼ばれています。
肢の動く順番は常歩、速歩、駈歩とは異なり、左手前の場合、①右後肢、②左後肢、③右前肢、④左前肢の順番です。
このような走り方を交叉襲歩と言います。
またスタート直後や手前を替えた時に見られる肢の動く順番は左手前の場合、①左後、②右後、③右前、④左前の順(左時計回り)の順番です。
これは回転襲歩と言います。
レースでは交叉襲歩と回転襲歩を使い分けて走っています。
手前を替える意義
手前を替える意義は
- コーナーを効率よく回れるようになること
- 肢の疲労を分散すること
の2つです。
競走馬は左回りの時は左手前、右回りの時は右手前にすることで効率的に回れるようになります。
これが上手くできないと遠心力に耐えられず外に振られてしまいます。
右回り巧者と左回り巧者がいたり、左回りも右回りも両方上手く回れる馬がいる理由は手前に理由があります。
また同じ手前で走っていると、疲労が左右のどちらかに偏ってしまいます。
そこでレース中は手前を替えることでどちらかの肢に疲労がたまりすぎないようにしています。
人間も立っている時に右足ばかり体重をかけていると辛いと思います。左足にも体重をかけたくなりますよね。これが馬にも起きています。
最後の直線で手前を替えてグンと伸びるのは疲労が蓄積していないほうの肢に手前を替えているためです。
まとめ
答え:アイキャッチ画像にあるドゥラメンテは左手前です。(最後に着地しているのが左脚なので)
今回の記事では手前、馬の歩法、手前を替える意義について解説しました。
馬には左回りが得意、右回りが得意、どっちも得意という馬がいます。
また最後の直線で手前を替えて伸びたり、手前を替えられずに失速したりする馬がいます。
レースで勝つためにはコーナーや疲労具合に合わせて上手に手前を替えることが大切です。
馬には手前の替えが上手い馬、苦手な馬がいます。
手前を見ながら観戦するとより競馬が楽しくなります。
この記事が少しでも役に立ったら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。